ビジネス書の多くが、早い決断をしなさいと読者に訴えている。

早く決断し、間違っていたら後で修正すればいいのだと……


されど、本当にそれがベストなのだろうか?


“早い決断”は、その真逆にある“思慮深さ”をないがしろにしている。

もし、決断の対象が、相手との約束だったり、契約だったり、あるいは容易に修正が効かない組織への意思表示だったりする場合、早い決断はいつもベストではない。


例えば、誘われるままにデートの約束を交わしたものの、やはり気が向かなくなったといったら、相手は相当に傷付くだろう。

例えば、企業対企業で、一度は契約締結したものの、状況が変わったので、契約は無かったことにしてくれといっても、相手は容易には承諾してくれないだろう。

例えば、自分には不向きな職場だと思って、辞表を提出し、後日、やはり戻りたいと申し出ても、もはや帰るべきデスクはないだろう。


決断の修正には、こういったリスクが待ち構えている。


自分が若い頃には、かなり優柔不断な面があり、社会に出てからは、極力、早い決断をするよう心がけてきた。

その習慣は、今でも続いている。

しかし、最近は、早い決断の後の修正で、相手をがっかりさせてしまったこともあって、再考の機会を得たと思っているところだ。


ということもあり、今年のテーマは“思慮深さ”だ。

言い換えれば、決断を早くしないということを決断したのだ。

ここまらまた何が見えてくるだろうか……